「見ているすべての人々に夢を与える」が使命
ピースラリーでは「人々に夢を与える」ことを大切に活動をしています。今回のラリーでも、たくさんの方との出会い、夢を届けられたと思います。その中でも印象に残っている出来事について書きたいと思います。ピースラリーでは、主に1950年代〜70年代のヒストリックカーを使用しています。
参加したヒストリックカーは、ポルシェ356、トライアンフTR3、フェラーリ328GTS、メルセデスベンツ280s、フィアット500、オースチンヒーレースプライトマーク1、MGAでした。
生産年の古い歴史ある車を使ってラリーをするのですから、様々な出来事があります。時には、オーバーヒートや部品の脱落、ホント???と思うような故障もあります。その面白い話はまた別の機会に書きますね!
で、今回のピースラリーでは広島〜長崎の道のりをそれぞれの平和祈念式典の日程にあわせて移動し、式典に参列して平和を祈願したわけですが、広島に向かう道中、岡山倉敷である事件が起こりました!
少年の夢が走り出した倉敷での出来事
倉敷の美観地区である大原美術館、アイビースクエア周辺を走行後、公民館で私たちの活動を知ってもらうために講演会を実施しました。
普通の生活スタイルでは乗る(所有する)ことのできないヒストリックカー。そこにはスーパーカーに憧れた年代の人にとっては幼かった頃の夢、子供たちにとっては将来こんな車に乗りたいという憧れの存在であったり、たくさんの方の未来に対する期待が詰まっています。そんな期待を背負いながらの講演会でした。
そこへ来場してくれた一人の少年がいました。中高年の方が多い中少年の存在が珍しく、私は来場の理由を聞きました。するとその少年はフェラーリが物凄く好きで好きで好きでたまらなく、フェラーリが来ると聞きつけて、絶対にこの目で見たい!と講演会に来た理由を熱く語ってくれました。
ですが、こう話している時には、フェラーリはトラブルのためにまだ現地に到着していませんでした。少年のドキドキ感を私も共有しながら講演会を進めました。
私がピースラリーの主旨やヒストリックカーを通して歴史を継承する意義を熱く話していました。
その時です。講演会場にフェラーリが近づいてくるエンジンサウンドが響き渡りました。時間と共に近づいてくるのがそのサウンドで分かります。少年は、遠くから聞こえるフェラーリサウンドを耳にして「フェラーリが来た!」と言って、講演会場から走り外へ走り出しました。
一瞬、「ここええとこ話してんにゃけどな〜」(笑)と思いながらも、その一途な行動力に嬉しくなりました。
その数分後、講演会が終わり私はフェラーリが駐車されている場所に移動すると、少年は嬉しそうに満面の笑顔でドライバーズシートに座っていました。そしてオーナーからフェラーリについての説明を受けるも、少年の方が詳しく、オーナーはタジタジ。(笑)少年にとっては、憧れのフェラーリのドライバーズシートに座っている。その高揚感がたまらなかったと思います。
その少年の輝く目を見て私達も笑顔が溢れました。おそらく小学生だと思いますが、憧れであったフェラーリに出会い、乗ることができて、フェラーリサウンドを聞いた。フェラーリの情熱的な赤、エンジンサウンドが奏でる音楽、マフラーからの匂い、身体を包み込むドライバーズシート、革の肌触り、ステアリングの重厚感など、彼にとってはアイドルにあったようなもので、その細部を鮮明に記憶し、この瞬間から活力となって未来に羽ばたくのだろうな、と感じる瞬間でした。
私たちは確実に彼の人生に夢と決意を与えることができたと実感しました。