その後、どうしたか。途方に暮れた僕は、一転観光客に。
といっても何か手がかりがあるかも知れないと思い、翌日も通いましたが、やはり何も分からず・・・。滞在中は美術館や街の眼鏡やさんで木製メガネなるものを探したりして過ごしました。ですが木製メガネを制作するに役立つような情報は皆無でした。
なにはともあれ工房がもぬけの殻だったことにショックだったことと、冬のドイツは常にマイナスで、道路も一日中凍っている始末。それに追い討ちをかけるように回りはクリスマス。空き地や公園のいたる所で移動式の遊園地。家族連れで寒いにも関わらず皆家族やカップルで暖かく楽しそう。僕の心とは対照的でした。
そして、また日をまたぎ12月24日を迎えました。日本では、ここぞとばかり街には人が溢れています。そんな光景を当たり前のように何年も見ていた僕は、当然ドイツでもワイワイ楽しそうに騒ぐのかと思ってましたが、みんな教会にミサに行くのですね。よく考えれば当たり前のことですが、僕は目的も果たせなかっただけにその静けさは身にしみました。
余談になりますが、ドイツ人って歩くの早いですね。僕の身長も低くはないと思いますが、必死に歩いてもドイツ人のおばちゃんに負けます。相当早いです。
それから電車に乗る時、駅に改札がないって知ってました?!いきなりホームへあがり、自動券売機で必要区間分購入するという仕組み。もちろん降りる時の改札もないから無賃乗車しようと思えば出来ます。そのかわり電車内で私服の警官が検札に回り、乗車券を持っていなければ、乗車金額の数倍請求されるという仕組み。僕が滞在中も何度か検札に会い、切符を切られている人を何人か見ました。ベルリンに行く際には、ご注意を!
で、見たい!という想いだけで、ドイツまで行っちゃったんですが、これを読んでいる皆さんはアポくらい取っとけよ!と思われるかも知れません。一応、日本から電話を何回か掛けたのですが通じず、FAXだけは送ったかな?それも全く通じませんでした。それよりも何よりもアポが取れようが、取れまいが関係なくガラスごしにでもへばり付いて見て来てやる!という意気込みでした。
万が一行き着けなかったり、お店がないということも想定してましたが、とにかく動かずには、いられなかったということです。というわけで、今となってはドイツへの旅はネタになってしまいました。(笑)予定の滞在期間が終わり、渋々日本に帰って来ました。
言い忘れていましたが、僕は眼鏡という仕事になんら関わりのない家に育ち、友人にもそんな繋がりはありません。唯一の頼みの綱であったドイツの工房に行っても何も得られませんでした。さぁこれからどうしようか?と考えました。
じゃ、とりあえずインターネットで調べてみるか?!ということで眼鏡の部品や関連した本をネット上で探してはみたものの、これまたなかなかないんですね。結局、眼鏡についての何でも相談コーナーみたいなのがあって、そこに「フルオーダーで木製眼鏡を作りたいのだが、ツテも何もない。一体どうすればいいでしょう?何か糸口はないでしょうか?」といった内容のメールを送ったところ、「知り合いが福井県の鯖江で眼鏡を作っている。その社長を知っているので紹介しましょうか?」と返事頂きました。
また、「一日眼鏡作り体験コースもあるし、木で眼鏡も作っていますから一度コンタクトをとってみたら?」と紹介して頂きました。
ドイツに行っても得られるものがありませんでしたが、(ネタは作れました!笑)動いてるとなんとかなるものですね。という訳で、早速紹介頂いた社長に連絡を取りました。