宇宙からのプロポーズ

必死の捜索活動のはずが焼肉?!

数時間後ジェームズは東京に着いた。

結果こそ出なかったが、すごく愉しい旅だった。ボスから学んだことも多い。そして何より次どうするか、が重要である。なので、お疲れ様でしたーー!という感覚はない。

次にしなければならないのは、新しい機体の開発と製作である。チャンレンジまで時間がない。1週間を逆算すれば、自宅の京都にたどり着くまでにコンセプトは出来上がっていないといけない。そのあと機体を作るための材料を集め製作にとりかかる。ギリギリだ。というか普通にやったのでは間に合わない。人生で経験したことがないくらい頭を回転させた。

前回と同じ方法では無理。ならばどうする?原理は打ち上げて落とす。極めてシンプル。でも、そこに確実性が必要。要は早いスピードで宇宙まで到達させ最速で地上まで落とす。機体の設計アイデアをネットの画像検索などを利用し探しまくった。

自宅にもどった変態は、おぼろげなイメージで機体の制作に取り掛かった。究極にシンプルな機体にするため、ほぼカメラだけの機体。そしてその機体には落下時の原則装置であるドラえもんのタケコプターのようなものを取り付けるというものだった。夜な夜な制作にかかった。

一方で回収班は、やはり悔しさを隠せず、なんとかしたい気持ちでいっぱいだったらしく、東京に戻った数日後には「今、ほっかいどーーーに、いま~~す!」とFacebookに上がってくるではないか?!北海道?!と思ったが、すぐさま皆感じ取った。あの広い広大な牧草地を探す冒険にでたのだと。どれくらいの捜索範囲かと言うと球場の数十倍の広さである。同じ日本と言えども北海道はスケールが違う。広いだけでなく無線からの発信情報はバッテリー切れのためない。勘でさがすしかない。それに加え牧草地である。乾燥した大地を捜索するのではなく湿地帯。しかも身の丈ほどある草も生えている。牛の糞も数限りなく雨も降ってくる過酷な中、これまた楽しそうにAPOLLO29を探しているのだ。なんて素敵なんだ。捜索にあたった彼らにとっては、北海道に行った理由は焼き肉が食べたかったかららしい。(笑)うんこまみれになりながら微笑ましい話だ。

そして、3日間くらいだったろうか、日の出から日の入りまで打つ上げ当日の解析データで割り出した範囲を毎日捜索にあたった。でも残念ながら見つからなかった。見つからなかったら意味がない。それほど我々は結果が大事である。糞まみれになろが関係ないのだ。ウンが付いたと言っても洒落にもならない。笑

そうこうしている間にエクスプローラーズクラブ最大のイベントである「人生を愉しむシンポジウム」が東京で開催された。これは1年に2回行われるビッグイベントで全国のメンバーが集まり、日々頑張ってきた成果を発表する場であり、未来に勢いを付けるメモリアル的な重要な祭典だ。ほんとうなら、この場で「みんなを宇宙に連れて行きましたー!プロポーズも成功しましたーー!!」と発表をする予定だったが、ここでは発表できず。なおかつ我々打ち上げクルーは、このままでは3年間の冒険禁止である。イベントでの発表内容を楽しみながらも、次の打ち上げのことを考えていた。(続く)

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  • この記事を書いた人

Kawamura Hiromitsu

「教育」21年間公務員として教鞭をとる→「モナコ滞在」にて映画のような日常を知る→起業し事業を営むかたわら社会貢献活動にも力を入れている。モナコをはじめヨーロッパと日本を行き来する生活を送り人生を愉しんでいる。

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