南フランスの古城でのバロック音楽コンサートに招待いただき参加しました。バロック音楽を代表するチェンバロの軽やかな音と声楽の優しく伸びやかな歌声が小さな部屋に鳴り響き、とても心地の良い空間でした。舞台という垣根はなく、演奏者と鑑賞者の距離は最前列で1mほど。息づかいや感情までもがダイレクトに伝わってきます。鑑賞者もバロック時代に合わせ思い思いのマスクやシャポーを纏い、その音楽会を当時に誘います。石造りの古城に響き渡る音や空間はまさにバロック時代。これが本当のコンサートなんだと知りました。
また、古城の各部屋や庭に置かれているキャンドル、燭台、ソファ、テーブル、お花などすべてが、ここでなければ、という場所に置かれていました。古城オーナーのすべてのものに対する愛情が脈々とここに息づいていることを感じました。そこには美しい時間が流れていました。